ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山田検校 |
唄 |
逢ふことの、絶え間がちなる仲なれど、 なたてがましく皆人の、うらやましいと捨て言葉にも、 いはれていとど物思ひ、酒で散してまぎれてみても、 心ひとつに迫るやら、 しんきしんきしんきエエうかぬすがたをなぶられて、 かくす言葉も夏痩せと、人に答ふるなみだ川、 深いちぎりとわし故に、うきなたたせる身とならば、 今のおもひを忘れ草。 |
訳詞 |
逢うことは絶え間がちなお互いの中であるのに浮名が立つ様に周囲の人は皆うらやましいよと、捨て台詞を投げかけられ、この上なく物思いに沈む。 そんな浮かない姿をからかわれ、恋で憔悴した姿を隠すための言葉として、夏痩せですよ、と人に答えはしても、涙は川のように流れる。 深い約束と自分自身から浮名が立って辛い我が身となったと思えば、いっそ今の思いを忘れ草のように忘れてしまいたいものだ。 |
補足 |
山田流箏曲。 夏痩せはもともと夏の暑さに痩せることをいうが、ここでは恋の辛さにやせたのを人目をしのび、言い訳に夏痩せと言ってごまかす事をうたっている。 |