古典曲検索

早舟
[ハヤフネ]

ジャンル 地唄・箏曲
三味線組歌
中組
作曲者 柳川検校?
調弦 本調子
[前弾]

一 いわひめでたの、
  うれしめでたの、マタノヨ若松わかまつ
  えだもイヨさかゆる、もシしげる。

二 なが長崎ながさきの、なが呂宋ルスンの、留守るすすれば、
  おもことは、マタノヨよいと、
  よいとイヨ夜中よなかと、あかツつきと。

三 名護屋なごやイヨ山路やまじをノ、肥後ひご八代やつしろ熊本くまもとぢゃ、
  とりかよはぬ、マタノヨやま

四 めばヤッコラサッサニ、みやこよノ、がサさとよ。
  四角柱しかくばしらの、四角柱しかくばしらの、マタノンエイソレかど
  かどのヤッコラサッサニ、ないこそ、ひヨよけれ。

五 はないても、うめひらいても、マタノンエイソレはな
  いてヤッコラサッサニ、無益むやくの、仇花あだばなよ。

六 これがいとまの、これがいとまの、マタノンエイソレ文、
  にはヤッコラサッサニらいで、なまなかなかに。
七 やまぢや谷間たにまの、深谷みたにおろしの、うずもりし、
  しばいおりも、マタノンエイソレなつ、
  みやこヤッコラサッサなれども、たびや。

八 おきしおは、たけあぶらを、るやうに、
  とろりとろりと、うたうて名乗なのりて、ぐや船方ふなかたは、
  エイ上様うえさまの、御座船ござぶねは、マタノンエイソレで、
  ではヤッコラサッサらいでも、うたろ。

九 お少女少女様ちよぼちよぼさまは、なり椋鳥むくどりの、こえうぐいすの、
  しゅくしゃかむくしゃか、さんぱかしんぱか、
  しんからきうだら、ずばいぼ、
  眉目みめござれば、マタノンエイソレこえ
  こえもヤッコラサッサわらひも、しなやかに。

十 われくならば、やまぢゃも、かやも、
  かわぢゃ川柳かわやなぎさとさがりて、みち小草こぐさも、くさも、
  ひと嫁御よめごも、小娘こむすめも、綸子細帯りんずほそおび、さらりさっと、
  きあげて、十七七八じゆうしちしちはちは、いざやともどちを、
  せやあつめて、われ音頭おんどで、鼓太鼓つづみたいこに、唱歌しようが鞨鼓かつこに、
  張鼓はりつづみ、けけりゃ、からころ、ひょひゃうららひゅう、
  ららたっぽぽぽ、エイヤさらさらと、
  かばそ、なびきゃるが、マタノウエイソレく、
  くにヤッコラサッサなびきゃるも、くさのなや。

十 エイこれよりしもには、山城川やましろがわとて、昔由来むかしゆらいの、ノサテかわなれば、
一 けどもどれども、わたりゃしょろしょろかわの、はしのともづり、
  ともずなを、くるりくるり、エッくるり、エッくるエッくると、
  きあげて、川下かわしもさして、ながつるつる、
  つるつるつる、これもごえんかや。
  した堀川ほりかわの、マタノウエイソレふかふかきヤッコラサッサ
  おもひはノ、我独われひとり。

十 みやへは三里さんりよノ、エイ三里さんりちかさよノ、廿日市はつかいちの、
二 源左げんざ塗物ぬりものは、うるしらいで、梔子くちなしばかりを、さっとく、
  エッソレばっさり、づんでんど、そのようなエイソレ、
  その塗物ぬりものは、ただるるとも、おら嫌々いやいやいやそろ
  やがてぐるに。

十 猿沢さるさわの、いけみずではない、こいそろうえ
三 篠竹しのだけの、小篠竹こしのだけの、まどあらしが、きみもおらず、
  われず。
  桜木さくらぎに、うそまりてことことひびきに、はなる。
  人目ひとめには、ふしれたが、い、しのしのびに、何時いつまでも。

十 さきつきの、二十五日にじゆうごにちに、さだめた(る)にわに、るもくもるも、
四 ふゆの。
  やまゆきぢゃいの、ふもとあられさとあめうらまわるも、其様そさまゆゑ。
  おきいでとおるは、明石あかしうら源太本船もとふね
  ではらいで、うたろ。

十 いち枝引えだひけば、枝靡えだなびく、なびけや小松こまついちえだ
五 つりりんりん、つりりんりん、つりりりつの、りつりつ、
  つりりん。


富筋では第十歌のあと、柳川流では第十一歌のあとに、次の歌が入る

  つるやつるつると、行き過ぎて、行けば右手、戻れば左、
  今は敵女郎、小んま様とよ、国名を申せば、さて西国の、
  中ばは奥なる、檜の木音掘の、瓦葺、隣の与太郎兵衛が娘、
  さても目鼻は好し、甚だ好しノ、
  眉目振好ござれば、マタノンエイソレ声、
  声もヤッコラサッサ笑ひも、しなやかな。
一覧に戻る