ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 菊岡検校 箏手付け:八重崎検校 |
作詞 | 三井次郎右衛門高英(後楽園明居) |
調弦 |
三絃: 三下り 箏: 半雲井調子 |
唄 |
たゆふすは。皆かしにいで、露ばかり。 あとに苅萱、桔梗屋の、その庭面も、秋くれば。 時に尾花や女郎花。廓景色と打ちつれて。 しゃんと小褄を鳥兜。 おのの頼風寄り添ひて、咲き乱れたる萩薄。 その手にからむ朝顔の。 東雲方の朝嵐、空も匂ふか、秋の七草。 |
訳詞 | 廓の大夫衆は皆お茶屋に出払ってしまい、あとに残っているのは、つまらぬ女郎ばかり。 その苅萱や桔梗でもあげて遊ぶことにするか。 さて、ここ桔梗屋の庭の面も秋が来れば尾花や女郎花などが咲き誇る。 それが廓景色というものか。 こんな女郎たちでも踊るときはかたちどおり、小褄をしゃんととって踊る。 やがて夜になればそれぞれ寄り添う人に寄り添って、萩や薄など物言う花が咲き乱れる情痴の世界となり、その手は朝顔のように絡んで、明け方の朝嵐まで続く。 さても、空も匂うような秋の七草である。 |
補足 |
京風手事物。 秋の七草を読み込んで、京の島原の廓景色をうたったもの。 手事は『四季の眺』の掛合に倣ったものと言われ、チラシが付く。 三絃のみ(本手と地)の合奏も行なわれ、地は津山検校の『大和文』の手を取り入れたものと言う。 |