ジャンル |
地唄・箏曲 端唄物 |
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作曲者 | 湖出市十郎 |
作詞 | 不詳 |
調弦 | 三絃: 三下り |
唄 |
黒髪のむすぼれたる思ひをば、とけて寝た夜の枕こそ、 ひとり寝る夜は仇枕。袖はかたしく、つまぢやといふて、 愚痴なをなごの心は知らず、しんと更けたる鐘の声。 昨夜の夢の今朝さめて、ゆかしなつかしやるせなや。 積ると知らで、積る白雪。 |
訳詞 | 黒髪のように結ばれた思いは耐え難いもの、君とともに寝た夜は日頃の思いも淡雪の解けてゆくように楽しい。それだけに、独り寝る夜は本当の辛い。片敷く袖を、夫だと私と私の心に聞かせる、おろかな女の心も知らず、しんと更けた夜半に遠寺の鐘が聞こえて来る。やがて楽しい夢路に入ったと思うと、早空は明け渡ってきている。夕べの夢は今は覚めたけれども、思い出すだに懐かしく、やるせない。外には知らぬ間に雪が降り積もっている。それは、私の憂き思いの積るに似ている。 |
補足 |
三下り端唄。 「新増大成糸のしらべ」に詞章初出。長唄のメリヤス物として現行される同曲名とは多少の異同がある。初世津山検校が得意として、その歌い方を「津山ぶし」と言ったとも伝えられる。 |