ジャンル |
地唄・箏曲 その他 |
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作曲者 | 野川検校 |
作詞 | 野川検校? |
調弦 | 三絃:本調子-二上り |
唄 |
千代を重ねし常盤の松は、猶も御代をも仰ぐなり。 [合の手] 君が代は治まる国や、四つの海、岸打つ波も長閑にて、 千歳を過ぐる雛鶴が、直なる枝に巣をくひて、 恵みも深き玉川の、流れに棲める我等まで、 心浮木の亀あまた、 [合の手] 万代までも幾千歳 [合の手] 実に治まれる国かなと、君に曳かるる松ヶ枝の、 立ち寄る影はいつまでも、 老いても朽ちぬ常盤木と、 [合の手] 誰か言ひけん瑞籬の、久しき世世を祝ひ込め、 高き屋に登りて見れば、煙立つ民のかまどは賑ひて、 治る門の目出度さよ。 |
訳詞 |
千代も重ねた常葉の松はなおも御代を仰いでいるのである。 君の御代は平和に治まった国で、四方の海の岸を打つ波も長閑で、千年を過ぎて生きる雛鶴は真直ぐに延びた松の枝に巣を作り、恵の深い玉川の流れに棲んだ我等まで、心のうきうきする浮いた木に乗った亀が沢山集って、万代までも幾千年までも延命を祝う。 本当に治まった国と喜び、君に曳かれる松の枝に立ち寄る影はいつまでも、年を取らない常盤木と、誰がいったい申したのであろうか。 瑞垣は久しい世々を祝い、仁徳天皇の御製、高い御殿に上ってみると、民たちはそれぞれのかまどから夕飯の煙が立ち上るのが見られ、平和に治まった家は本当にめでたいことであるよ。 |
補足 |
本調子長歌。 深草検校作曲の本調子端唄物と区別するために『古子の日』ともいう。 正月の子の日に行なわれる松の根引きの行事を歌った祝儀曲。 津山検校制定の長歌40番の第3曲目。 地歌舞として行なう場合には、二上りに転じてからの部分のみを演奏。 |