ジャンル |
地唄・箏曲 明治新曲 |
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作曲者 | 楯山登 |
調弦 |
箏:夏山調子 (想夫恋調子の1と7を同音・巾を9のオクターブ上) |
唄 |
一 わが宿の 池の藤浪 咲きにけり 山ほととぎす いつか来鳴かむ 二 こぞの夏 なきふるしてし ほととぎす それかあらぬか 声の変らぬ 三 今さらに 山へ帰るな ほととぎす 声の限りは 我宿に鳴け |
訳詞 |
1.わが庭の池の辺の藤の花は咲いた。さて山の時鳥はいつ頃山から出て来て鳴くだろう 2.去年の夏盛んに鳴いて、珍しくもなくなった時鳥の声、今年も来て鳴いているが、それは去年の鳥かどうか分からないが同じ声で鳴いている。 3.せっかく聞きなれたのに今更改まって山へ帰ることもないだろう時鳥よ。帰るならありたけの声で、この宿で鳴きなさいよ。 |
補足 | 手事物形式の明治新曲。『楯山十二曲』の一つ。 『古今和歌集』から時鳥を扱った和歌三種をそのまま歌詞とする。 手事と後歌には替手が付く。 巣籠地を発展させたツルシャンという左手の重音奏法が替手に多用され、ここから「ツルシャン物」という語が生まれたものという。 明治新曲の代表的作品。 |