ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 幾山検校 |
作詞 | 三井某 |
調弦 | 三絃:本調子-二上り |
唄 |
春の曙、紅葉の夕べ相見しことの積りては、 [合の手] 淵と名づくる大堰川。 [合の手] 焦れ寄るべの浪の上、 [合の手] 浮かれ浮かれて何時かはと、 [合の手] 頼み嵐の山の端に移ひ易き世の人の、 [手事] 仇し散らさじと、 [合の手] 禿が袖の忍ばれて、 飽かぬ契りを千代もいとはじ。 |
訳詞 |
花の曙に、紅葉の夕べ、ともに見たことが多く積って深い淵とたまり、名づけて、多いところの大堰川という。 恋焦がれて舟をこぎ、寄る岸辺の波の上に浮いて、いつかは幸いにと頼み甲斐のない嵐山の端に、嵐に吹かれて変わりやすい人の世の悪戯心を散らすまいと、禿の袖の長いようにいつまでも忍んで、飽きない千代の契りを辛くも思わずにこらえましょう。 |
補足 |
本調子手事物。 京都嵐山周辺を詠み込みつつ、遊女の情けを歌う。 |