ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山田検校 |
唄 |
恋といふうきは、かうした憂きものと、 がてんはしてもしらぎぬの、もたれ袋のなが紐、 うちはかた手に思ひねの、うつらうつらとこがれて暮す、 その主さんの三重の帯、つひくるくるとひと重には、 結びもはてぬ春の夢、あだなこの世にすみ染めの、 こちや木の端じやないものを。 |
訳詞 |
恋と言う辛さはこうした辛さであると承知はしているものの、やっぱり納得がいかない。 身をもたれかかる白布の袋の長い紐のような長い日を団扇片手に物思いに耽って、うつらうつらとわずらって暮すのである。 その愛する主の三重の帯の言葉のように見えるかしらと、帯をくるくると巻いて訪れてくるのを一重に願って結ぶことも出来ない春の夢である。 あてにならないこの世にすみ染の法衣を身にまとって住むような、それも枕草子に「僧など木の端のようなもので役にたたないもの」と言われたが、私はそんな情け知らずの木偶の棒な人間じゃないのであるのに。 |
補足 |
山田流箏曲。 布袋和尚が袋に寄りかかって、うつらうつらしている様は恋の夢を見て眠った有情の人の姿であるという歌。 |