ジャンル |
地唄・箏曲 新組歌 |
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作曲者 | 吉沢検校 替手:松坂春栄 |
調弦 | 古今調子 |
唄 |
一 龍田川 錦おりかく 神無月 時雨の雨を たてぬきにして 二 白雪の 所もわかず 降りしけば 巌にも咲く 花とこそみれ 三 三芳野の 山の白雪 ふみわけて 入りにし人の おとづれもせぬ 四 きのふといひ 今日と暮らして 飛鳥川 流れて早き 月日なりけり |
訳詞 |
1.『古今和歌集』 読人しらず 竜田川に十月に行って見れば、川面に散っている紅葉の葉が、錦を織っているように美しい。それは降ったり止んだりする時雨の雨を縦糸に、川を流れる紅葉を横糸にして、見事な錦を織っている様だ。 2.『古今和歌集』 紀秋岑 白雪が場所も区別せず、どこもここも降り積もれば、咲くはずのない巌にまで、花が咲いているように見える。 3.『古今和歌集』 壬生患岑 吉野山の山の白雪を踏み分けて、奥に入った人は帰ってこないばかりではない、便りさえくれない。 4.『古今和歌集』 春道列樹 昨日といい今日といいながら暮らしてきたが、振り返ってみれば飛鳥川の水の流れのように、あまりにも早く過ぎ去った月日であった。 |
補足 |
新組歌。「古今組」の一つ。 「古今和歌集」冬の部の和歌四首をそのまま歌詞とし、初冬から晩冬にかけて四歌に配列して組歌としたもの。必ずしも古典的な組歌の形式には従わず、各歌の拍子数は一定しない。 松坂春栄によって手事と替手が補作されて以来、手事物箏曲として有名になった。 手事は、マクラ・手事一段・手事二段(チラシとも)からなる。 |