ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
---|---|
作曲者 | 幾山検校 |
作詞 | 惺園篁鳳 |
調弦 | 三絃:本調子 |
唄 |
横づちは、もしやとばかり合槌が、 あひにくるかと棚の端、こけつまろびつかたで打ち、 力いつぱい色つやを、打ちいだしたる口説ごと、 宵のきぬたはきぬぎぬに、 [手事] かなしき風の袖の雨、かわく間まちてあすの夜も、 かたい約束うち盤の、せなかを撫でたりたたいたり。 |
訳詞 |
横槌はもしかするととばかり、合槌を打って話したのであるが、逢いに来るかと棚の端から引き出して、転んだり倒れたりして、片手で打ち、力いっぱい衣の色艶なる愛情をこめて打ち出した口説ごと、宵の砧は衣をきぬぎぬになれば、悲しい風の吹く袖になって涙の雨が降る。 乾く間を待ち、ほとぼりをさまして、翌日の夜も堅い約束を交わし、砧の打盤の背中を撫でたり、たたいたりして仲直りする。 |
補足 |
本調子手事物。打合せ物。砧物。 同じ作詞・作曲者による三下りの『打盤』と同時演奏ができるように意図されている。 1870年の『新うたのはやし』に初出。 布を打盤の上にのせて横槌で打つ砧に寄せて、男女の恋心を歌っている。 前歌・手事・後歌の構成で、手事にはチラシが付く。 |