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春の宮曲
[ハルノミヤノキョク]

ジャンル 地唄・箏曲
山田流
作曲者 山田検校
作詞 不詳
調弦 箏:平調子
三絃:二上り
  三千みちとせに、なるてふ桃の花のかほ、
  ひらくや露の玉のに、たまのかんざしさす月影の、
  玉しく宮の舞の袖、からのやまとのおりものは、
  梅に牡丹に名もかをる、都ことばはすいも草、
  あづまはだてのおもたかや、はひまつはるるつたかつら、
  にほふ花びしふきじざい、めうがありけるこのとのの、
  みすのひまもる春風の、さむさしのげとめぐみもあつき、
  君がたまものかさねていくへ、
  千代に八千代も栄えつきせじ。
訳詞 三千年に1度実を結ぶという桃の花が咲き、その上に置いた露の玉のように美しい玉の井に玉のかんざしを挿した舞姫を月光が射して影をうつしている。
玉を敷いたような御所の舞なる平陽の舞、支那や日本の舞姫の織物は梅や牡丹と名高い模様、都のことばは粋なすいも草で、東国は伊達の武張ったおもだかで、はってからまる蔦かづら、匂う花菱、蕗で富貴は自由自在に得られる、茗荷は冥加を得っせられて、この殿の御簾の間をもれて吹いてくる春風は寒さを覚えさせ、その寒さをしのぎなさいと恵んで賜った君の玉裳を幾重も重ね着して、千代に八千代に尽きず栄えますことを祝い申しましょう。
補足 山田流箏曲。初学曲。
箏組歌『春の宮』にも引かれる唐の詩人王昌齢の『春宮曲』に拠り、間に『紋付し』の詞章を挿入したもの。
前弾はのちの『雨後の月』にも取り入れられるが、その出の部分は雅楽の箏の雰囲気を表し、他の三味線音楽の「琴の合方」などに用いられるもの。
『紋付し』の最後のほうの「富貴自在」の部分には組歌の旋律パターンの一種を使用。
音楽取調掛撰『箏曲集第2編』では、『栄ゆる宮』と題して替歌を収録する。
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