ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | |
調弦 |
箏:平調子 三絃:二上り |
唄 |
[前弾] 花の都の大堰川、 あそびもみつの友をわけ、 [合の手] 船のよそひはからにしき、 あやおる波の河よどに、 おくれてのれるみやびをは、 歌にも詩にもしらべにも、 かねてこころを筑紫琴、 [合の手] つくししわざはしら浪に、 今もひびくや、 [合の手] いまもひびくや大堰川。 |
訳詞 |
花の都の京都の大堰川での舟遊びに歌・詩・音楽三道の同好の友をそれぞれ三艘の船に分けて乗らせた。 その船は唐錦で飾りたて、綾をおったような美しい波の静かな流れに浮かせた。 遅れて参加した風雅人の公任は、以前から歌・詩・音楽の三道をすべて筑紫琴と心を尽くし打ち込んできた。 その妙音は白波に今まで優れた物語として響きわたり、今までに大堰川に響き伝えているのであるよ。 |
補足 |
今様朝妻舟の替歌。 遊女がうたった歌は不適当ということで、替歌の三つの舟をつくったのである。 内容は藤原公任の三船の才をうたったもの。 ある時入道道長が大堰川で船遊びをされた時、漢詩の得意な人の乗る船、和歌を得意とする人の乗る船、音楽を得意とする人の乗る船と三艘に分けそれぞれ便乗した。 公任は遅刻して参加した。 万能の公任をどの船に乗せるべきか迷った挙句和歌の人の船に乗せた。 そして作った歌、 「小倉山あらしの風の寒ければもみぢの錦着ぬ人ぞなき」 とうたわれた。 そして道長が言われるには、公任は漢詩の船に乗せるべきであった。 これほどの漢詩を作ったら更に名をあげ得たであろうと思うと残念であったと言われたと、この物語は大鏡に出ている。 という故事をうたった歌。 |