ジャンル |
地唄・箏曲 箏組歌 秘曲・別組 |
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作曲者 | 八橋検校 |
調弦 | 下千鳥本雲井調子 |
唄 |
[前弾] 一 春の御前の池水に 唐めく船の装ひは うららかに見えて漕ぐ袖の 棹の雫に花薫る 二 月の桂の追ひ風に 調べ合はする妻琴の 聞き捨てがたき折からや 催し顔のほととぎす [楽] 三 朝夕露の光も 世の常ならぬいろいろ たもと輝く前栽の 千々に乱るる秋風 四 荒れたる宿のかきいほに 降り積む雪の橘を 払へど元の末の松 なほ立つ波の面影 五 千代万代の世も先 君の恵みは筑波山 端山茂山影高く 賑はふ民の家々 |
訳詞 |
1.春の御殿の前にある池に、中国風にしつらえた舟の様子は大変うららかに見えて、漕いでいる人の袖に、棹の雫が飛び散って、花のような芳しい薫を放っている 2.月にあるという桂の木を吹き過ぎる風に乗って聞こえて来る箏の音を聞き捨てがたい気持ちになっていた折柄、ほととぎすが思われぶりに鳴いた 3.庭の花々は朝夕に置く露の光までも世の常と違って、とりどりに玉のように光り輝いていたが、秋風が激しく吹き、草花が千々に乱れてしまった 4.荒れ果てた住居の橘の生垣に雪が降り積もっている。その雪を払えど払えど元のように降り積もってしまうまで、末には門を開けてもらえると思ってじっと立って待っていると、心にはあの人の面影が、波立つように湧き上がってくる 5.これから先、千年も万年も帝の恩恵は尽きることがない。筑波山は端の山や木の繁った山など山々が多いが、その山の影が高いように、君の御蔭も高く、民の家々は賑っている |