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紅葉尽し
[モミジヅクシ]

ジャンル 地唄・箏曲
その他
作曲者 津山検校
作詞 津山検校?
調弦 三絃:本調子-二上り-高三下り
  秋くる、深山かへでの小夜時雨しぐれ、手染めの糸の竜田姫、
  織り出す錦品々に、

  [合の手]

  その名も高雄小倉山。
  行幸みゆき待たなん飛鳥川あすかがは、変る心はうす紅葉、
  唐紅からくれなゐの竜田川、流れて留るしがらみに、

  [合の手]

  紅葉の波のはるかなる、千里ちさとの外の唐錦、
  我が敷島の道しるべ、

  [合の手]

  紅葉かさね名取川なとりがは、君松が枝の夕暮に、
  月の蔭さへ通天つうてんの、遠近をちこち人も陸奥みちのくの、
  枝垂しだれ紅葉や糸紅葉いともみぢ

  [合の手]

  寄る年浪の水鏡みづかがみ、うつろふ色のおもて

  [合の手]

  忘れ形見の朝露に、

  [合の手]

  雁の玉章たまづさ

  [合の手]

  蔦紅葉つたもみぢ

  [合の手]

  また如月きさらぎの花よりも、増す紫のひとしほに、

  [合の手]

  酒あたためし唐詩からうたの、

  [合の手]

  昔をしのぶ須磨の浦、

  [合の手]

  青葉の笛の鹿紅葉しかもみぢ

  [合の手]

  爪紅つまくれなゐ青海波せいがいは

  [合の手]

  夜の錦は古郷ふるさとの、

  [合の手]

  風の便りも神無月。

  [合の手]

  数はしほか九重ここのへに、

  [合の手]

  十二単衣ひとへ裏紅うらべにに、薄柿うすがきうこん色々を、
  数へ数へて幾日をか、秋の名残を眺むならまし。
補足 本調子長歌。物尽し物。
1782年『歌系図』に曲名が初出。
紅葉の名所と種類を綴ってある。
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