ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 峰崎勾当 |
作詞 | 不詳 |
調弦 | 三絃:本調子 |
唄 |
見る度に飽かぬ色なり足曳の、かた山椿今ぞ咲く。 花に心を越の雪、その初嵐明かしけん、 まだ青柳のいとしほらしき玉水の、 咲きぶりもよき都紅。 文から糸の厳島。 互に峰の雪解けて、千歳をちぎる鹿の松、 道冴えわたる照明の月。 常盤山、八つ穂の峰の玉椿。 色も変らで幾代経ぬらん。 |
訳詞 |
見る度に飽きない景色である、かたわらの山の椿は今咲いている。 花に心を越すところの越後の雪、その初嵐は初心をあらわしたのであろう。 まだ青柳のような、なよなよとやさしい水々しい咲きぶりもよい都紅のような可憐な少女は、手紙から恋の糸をひいて、厳島といつくしみ愛し合って、互いに冷やかな峰の雪も解けて、千歳に変らない心を、常盤の松と契り。 道冴えわたる皓々と照る月は、常盤山、八つ峰の美しい椿を照らし、色も変らず幾代も経ることであろう。 |
補足 |
本調子手事物。 1792年『増補よしの山』に初出。 前歌は長歌形式で、五段の手事を挟んで後歌は返歌としての短歌一首。 美しく咲く椿の花のように、色変らずにいつまでも美しくあれと歌っている。 のちに、この曲と合奏できるようにと、菊平勾当が『袖の雨』を作曲している。 |