ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 国山勾当 |
調弦 | 三絃:本調子-二上り-三下り |
唄 |
そもそも天の霑ひに、雨露霜雪の四つを見せ。 同じく雪月花の、三つの徳を分つにも、 雪こそ珠に勝れたれ。先づ春は梅桜、 吹くより散るまでも、雪を忘るる色は無し、 夏は五月雨の。降る家の軒は暮れながら、 庭は曇らぬ卯の花の、垣根や雪に紛ふらん。 夜寒忘れて待つ月の、山の端しろき影までも、 降らぬ雪かと疑はれ。冬野に残る菊までも、 また初雪と面白き、山路の憂さや忘るらん。 山路の憂さや忘るらん。 |
訳詞 |
そもそも天から降ってくるものは雨・露・霜・雪と四つ見られる。同様に数えられるものに雪月花と仁智勇の三徳にあてはめて分けるに当っても、雪が最も優れてみられる。 先ず春は梅や桜が咲いて散るまで、雪を例に引かれる事を忘れられることはない。 夏の五月雨が降る家の軒端は暮れても庭には曇らないで、真白に咲く卯の花の垣根は雪が積ったかと疑われるであろう。 夜寒も忘れて上るのを待つ月が、山の端を白く照らす光の景色は降らない雪が積ったかと迷わされる。 冬の野原に咲き残った白菊までも初雪が降ったかと見られて面白く山路の退屈さも忘れるであろう。 |
補足 |
地歌。本調子長歌。手事物。謡曲物。 前歌・手事・後歌の構成。手事は二段で、初段を繰り返す。 歌詞は謡曲『四季』によるもので、四季折々の風情を、すべて雪に関連させて歌っている。 |