ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山田検校 |
唄 |
つましあれば、着つつなれにし恋衣、 重なる仲にひとつ身の、こだちの衣はむつきより、 別れ別れの裏おもて、うすきひとへのなつかしながら、 こんな辛苦なつらさ思へば、あはぬもましかと、 いふも浮世ちや、めぐりあふせはしづはた帯の、 解くにとかれぬわが思ひ、さゆゑ解かれぬわが思ひ、 いつか晴れゆくころも春雨。 |
訳詞 |
着なれた恋衣の褄なる妻があるので、恋心が重ね着したように厚い仲となった。 そのお互いの中に子供の着るひとつ身や、おむつなどの表裏と別れ別れに恋人同士はなりがちで、薄い一重の間がらも懐かしいが、こんなに真紅の辛苦な思いをすると思えば、いっそのこと逢わない方がましというのも浮世であるよ。 廻り逢う時は倭文帯と乱れて、解いても解かれない自分の思いで、そんなことであるから、塞いで解かれない自分の思いである。 しかしいつかは思いがかなって、春雨が降って緑が濃くなるように、やがては晴れ晴れした気持ちになることだろう。 |
補足 |
山田流箏曲。 ままにならない恋心、やがては思いが叶うことであろうと願った歌。 |