ジャンル |
地唄・箏曲 箏組歌 中許(中組) |
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作曲者 | [四季の富士] 三橋検校 [四季の富士跋] 不詳 |
調弦 |
[四季の富士] 平調子 第四歌の第二句目の最後で 半雲井調子 [四季の富士跋] 平調子 四季の富士第五歌の最後で 半雲井調子 から 平調子 にする |
唄 |
[四季の富士] 一 田子の浦波うち出でて 見れば雲井に高き名の 山の姿に四つの時 分くるぞ分きて言ひ知らぬ 二 春は霞の朝催ひ 昨日の雪をそれながら 上なき花の色ぞとて 見るや山は富士の根 三 雪にたとへて三重がさね 扇を取れる手の内 夏は消えて夕暮の 眺めを映す富士の根 四 秋は更なり月雪 見ぬ人にしも語りなば 仲々に 言はで已みなん富士の根 五 三冬になれば都人 待つらん雪に鳥が鳴く 東に住めば朝なぎに 見てこそあらめ富士の根 [四季の富士跋] 六 時知らぬ時知らぬ 山は富士の根いつとてか 鹿子斑に雪の降るらん 鹿子斑に雪の降るらん |
訳詞 |
1.田子の浦の波の上を打ち出てみると、空高く富士山がそびえているのが見えるが、いつ見ても素晴らしいこの山の姿からは、いつが一番良いかと言う事を区別して言うべき言葉を知らない 2.春になると霞のかかった朝景色が素晴らしいが、昨年の雪をそのままこの上もなく美しい花の色に見ることが出来る山は富士の山だけである 3.夏にも消えない雪にたとえると、白色の三重がさねの扇を取った手の内から、夏の暑さが消え、夕暮れ時の涼やかかな景色をうつすことが出来る富士の山である 4.秋の富士のすばらしいことは言うまでもない。月のかかっている富士や雪を戴いている富士を見たことがない人に語ったところで、なかなか理解させるのは大変である。かえって言わずにおいた方が良い 5.冬になってはじめて、都の人たちは雪を待つことが出来るだろうが、東国に住めば、毎日朝な夕な富士の雪を眺めることが出来るに違いない 6.季節知らずの山は富士山である。一体今をいつと思って鹿の子斑に雪を降り積もらしているのか |