ジャンル |
地唄・箏曲 明治新曲 |
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作曲者 | 菊原琴治 |
作詞 | 市田瓢々 |
調弦 |
箏高音:二重雲井調子 箏低音:四九上り平調子 |
唄 |
長閑さや、ひばりもうたう弥生空、すみれ、 たんぽぽ、菜の花に、ひらひらと蝶の舞う、 袖も軽げや乙女子の、心つくし愛らしく、 待つ小鳥にも一束の、いえづとにせんはこべ草、 嫁菜五形もとりどりに、門に満ちたり春の色、 入相告ぐる小川辺や、たなびき渡る夕霞、 楽しさ飽かぬ野辺の摘草。 |
訳詞 |
長閑なことよ、ひばりはうたう三月の空である。 すみれ、たんぽぽ、菜の花に、ひらひら蝶が舞うし、袖も軽そうに乙女子の心づかいが愛らしく、家に飼った小鳥への土産として、一束のはこべ草を運んでいく。 嫁菜、五形といろとりどりに、家の門辺に満ちた春の風情、入相を告げる鐘の音が聞こえ、小川辺にたなびく夕霞すべて楽しさのつきない春の摘草である。 |
補足 |
手事物形式による高低二部合奏物の明治新曲。 1907年作曲。『菊原四つ物』の第1曲。 春の野に摘草をして遊ぶ少女を描き、のどかな春の情趣をあらわす。 手事は、マクラ・手事・チラシからなる。 |