ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 初世中能島検校 |
調弦 |
箏:半雲井調子-四上り平調子 三絃:本調子-二上り |
唄 |
[前弾] 昔より、流れつきせぬ三河水、 濁らぬ御代を新玉の、 [合の手] 春を待ちえて朝づく日、烏帽子すはうの晴姿、 うつや鼓の音たかく、万々歳やかずかずの、 国の柱の神たちの、御名を数へて舞ひうらふ、 三六十年辰のとし、諸人の立てたる御館にて、 誠にめでたうさふらひける。 雨がふれども雨もりせず、風が吹けども宝風、 [合の手] 御園の松の影たかく、巣をくふ鶴や亀の尾の、 長き齢を君々に、ささげまつりて豊なる。 げに此殿の繁栄を、八百万代の末かけて、 つきせぬ御代とぞ祝しける。 つきせぬ御代とぞ祝しける。 |
訳詞 |
昔から流れのつきない三河の水、濁らない御代を新しい春を待って待ちおおせて、朝日の出を拝むのである。 烏帽子や素襖の晴れやかな姿で鼓を打つ音が高く響く。 万万歳と多くの守護神の神様たちの御名を数えて舞いうたうのである。 三六十年辰のとしに諸人がたてた御邸宅で新春を迎えることは本当にめでたいことであるよ。 雨が降っても雨漏りはせず、風が吹いてもその風は宝を運ぶ風で、御庭の千年も変らない松の影は高く聳え、巣をつくる鶴や亀の尾は千年万年もの長い齢を君々に捧げもち、豊かな幸を祝っている。 本当にこの殿の繁栄を八百万代の末までもつきない御代と祝い申し上げる。 |
補足 |
山田流箏曲。中歌曲。 江戸城に参候した三河万歳の姿や芸能などを、『柱建』などの万歳歌を詠み込んで歌い、尽きせぬ御代を祝う。 途中に才蔵が囃す鼓のリズムを表現したものという長い「合の手」が入る。 合の手に続く「弥勒十年辰の年・・・」は独特な節付き。 |