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椿尽し
[ツバキヅクシ]

ジャンル 地唄・箏曲
手事物
作曲者 松島検校
作詞 洲浜
調弦 三絃:本調子-二上り
箏:半雲井調子-平調子
  つらつら椿春秋の、名は千里まで鷹ヶ峰。
  その本阿弥の花の色、白きを後のうつし絵も、
  いかで及ばん妙連寺
  薄くれないに濃き紅は、同じ花形かぎよう因幡堂
  まだきしぼりの秋の山嵯峨初嵐身にしみて、
  露、時雨降る頃よりも、好きもて遊び埋火うずみびの、
  春にうつれば天が下。賑ふ民の煙立つ、
  それは塩釜千賀の浦、汐汲む海女の腰蓑の、
  あづまからげや吾妻路や、清洲の里の散り椿。
  咲きも残さぬ角の倉
  藪の中なる香のもの、朴庵侘助唐椿
  八千代尽きせぬ花の数。
訳詞 春秋のつらつら椿で名高い鷹ヶ峰、そこに住む本阿弥光悦の名を取った本阿弥の花の色は絵画に写した絵などどうして優れて妙なることがあろうか、とても及ばない。 妙という字のついた妙蓮寺椿も優れている。薄紅に濃い紅色の花は妙蓮寺と同じ形の因幡堂椿。 不十分な絞り染め色の秋の山椿、嵯峨、初嵐は身に沁みて、露、時雨降る頃からは好んでもてあそぶ埋火椿、春になれば天が下椿は繁昌する民のかまどから煙が立ち昇る。 それは塩釜、千賀の浦汐汲む海女の腰蓑をした吾妻椿、その褄をからげて歩いていく吾妻路や清洲の里に散る椿、咲き残さない角までもの角の倉椿、藪の中に咲く香りの高い香の物、沢庵ではない朴庵、侘助、唐椿、八千代椿ではないが、八千代に尽きないめでたい花の数々。
補足 大阪系の本調子手事物。
四季折々の椿の銘を綴って歌詞としたもの。(歌詞中の太字) 本阿弥光悦が描いた椿の画譜を歌に移したものともいう。
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