ジャンル |
地唄・箏曲 明治新曲 |
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作曲者 | 菊塚与市 |
調弦 |
箏高音:オルゴール調子の変形(明梅調子とも) 箏低音:雲井調子 |
唄 |
一 風の音は 静まりはてて 千代を呼ばふ 田鶴がね高し 峯の松原 二 栄えゆく 御園生の松に 雛鶴の 千代の初めの 声をきかばや 三 この上に 幾重ふりそふ 雪ならむ 竹むら高く 成りまさりつつ 四 立ちかへる 年の旭に 梅の花 かをりそめたり 雪間ながらに 五 大君の 千代田の宮の 梅の花 げにほころびむ 年の始に 六 新玉の 年の始に 梅の花 見る我さへに ほほ笑まれつつ 七 新しき 年の祝ぎごと 言ひかはし 袖にもかをる 梅の初花 |
訳詞 |
1.風の音は静まって穏やかになり、千代の寿命を呼ぶ鶴の声は峰の松原に高く響くのである。 2.栄えて行く園生の松に巣をかけた、その中の雛鶴の千代の寿命の最初の声を聞きたいものである。 3.この上に幾重降り加わる雪であろう。竹やぶの雪は一層高く積りつつある。 4.年が廻って、再び新年になった新春の旭に、まだ降り積む雪の間に梅の花がさきがけて香り始めた。 5.大君のいます皇居の梅花は大君とともに本当に新年に当って、幸多くほころび微笑みなさることであろう。 6.新春の年の始めに梅の花を見る自分まで、思わず嬉しくなって、微笑んで眺める。 新年を祝福するおめでとうという言葉を交し合うお互いの袖に梅の初花が香るのである。 |
補足 |
手事物形式による高低二部合奏物の明治新曲。 1900年から1902年にかけての勅題「松上鶴」「雪中竹」「新年梅」に対する明治天皇・皇后ほかの御製・御歌を七首年代順に配し、松竹梅としたもの。 略して「明梅」などともいう。 手事はマクラ・手事・チラシからなる。 |