ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 菊岡検校 箏手付け:松崎検校 |
作詞 | 三井次郎右衛門高英(後楽園明居) |
調弦 |
三絃:本調子-二上り 箏:半雲井調子-平調子 |
唄 |
手にとりて、見ればうるはし芥子の花、絞りしぼればただならぬ、 匂ひ香うばし、花びらの、散りにし姿あはれさよ。 悋気する気も夏の花、雨には脆き風情あり、誰れに気がねを、 なんにも言はず、ぢつとしている奈良人形。 |
訳詞 | その女に触れてみれば、誠に麗しいが、可憐ではあるものの色艶はない。しかし、寵愛してみれば見るほど、並々でない芳しさがある。男に手折られた女の姿の、なんとあわれなことか。しかも、その可憐な女には、嫉妬するような気持ちも無くて、さらりとした夏の花の感じは、張り合いがないのだろうが、手折った主には、降る雨に打たれるままに打たれている脆い女心が見える。誰に気兼ねもあるまいものを、これということもしゃべらない、じっとしているところは奈良人形のようだ。 |
補足 |
京風手事物。 芥子の花によせて恋の思いを歌ったもの。 手事は中チラシの後に後チラシが付く。 弾き違いや掛け合いに特色があり、三絃の地は、「拾い地」をつける |