ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山勢検校 |
作詞 | 不詳 |
調弦 |
箏:雲井調子 三絃:三下り-本調子 |
唄 |
おなじときはの松竹や、冬も葉がへぬ、かげたかく、 つよきすがたとたをやかに、なびくさまにぞたぐふなる、 千とせくらべのいもとせの、中に生ひそふ姫小松、 うら若竹のみどり児に、おふしそめたるすずしろや、 春をまちえていつしかと、祝ひつつ待つ甲斐あれや、 ちひろの底のみるふさも、振分髪のなりふりも、 花のにしきや雲鳥の、あやのよそひの肩すぎて、 うち垂れ髪のさねかづら、結びつときつなまめける。 今を蕾の花ざくら、花のかつらや玉葛、 くりかへしつつ末ながく、しげりさかえむ柳のかみも、 冬ごもりたるみそのふに、降りとふりしく白雪を、 玉のかざしに千代かけてみむ。 |
訳詞 |
松竹も同じ常緑樹で、冬でも葉を変えず、姿が崇高く、強い姿の松と優しい姿の竹とは物に靡くものとして代表的に例えられる。千年も変らない夫婦の中に生まれた小松のように愛らしい姫と若松のように愛らしい幼児を養育し始めたすずしろは春を待ちおおせていつしかと、祝いながら待った甲斐があって欲しい。 千尋も深い海底に生えたみるふさも振分髪の格好も、花模様の美しい錦や、鶴の模様の付いた立派な衣装を身に着けて、髪はのびて肩より長く垂れ、その垂れた髪にさねかずらを塗り、結んだり、といたりして優美な姿は今を蕾の花桜のようだ。 しかしやがては花のかつらや、玉葛の蔓をくりかえして成人し、いつまでも末永く繁って栄えることであろう。柳のような長い黒髪も年を経れば冬ごもりした園に盛んに降った白雪を髪のかんざしに戴いて、千代と祝ってかけてみましょう。 |
補足 |
山田流箏曲。 歌詞は髪置の祝を歌ったもので、髪置は数え年三歳の陰暦11月15日、それまで短くしていた前髪をのばすことにする儀式。菅糸の白髪をかぶせて、上に白粉をつけて祝うことから、雪にたとえて曲名としている。 加賀前田家の姫君の七歳の髪置の祝に寄せて作られたといわれる。 |