ジャンル |
地唄・箏曲 箏組歌 裏組 |
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別名 | 四季友曲 |
作曲者 | 久村検校定一 |
調弦 | 平調子 |
唄 |
一 春立ちくれば我が宿に 先づ咲き初むる梅の花 君が千歳の挿頭ぞと 見るものどけき色なれや 二 滝の白玉千代の数 岩根に落つる五月雨 雲間すぎゆくほととぎす ただ一声の訪れ 三 月をのみ眺めても かくばかり惜しまるる 秋の夜ごとを徒らに つぐる人こそつらけれ 四 神無月しぐれても 色変へぬ松が枝の 緑うづめる白雪は 十返りの花ならん |
訳詞 |
1.春が来ると我が家には最先に梅の花が咲き初めるが、それはちょうど君の齢が千年ほども長からんと寿ぐ髪飾りの花のようで、のどかな景色である 2.白玉のような滝のしぶきは、岩根に降り続く五月雨によって一層多くなっている。雲の中からはほととぎすがただ一声鳴いて、初夏の訪れを聞かせる 3.秋にはいろいろと風情のあるものが多く、ただ月を眺めているだけでも、いつまでも飽かずに眺めていたいと惜しまれるのに、この秋の夜を何もしないで無駄に時を過ごす人は、本当に無風流で残念である 4.十月になって時雨が降ってきても緑の色を変えない松の枝であるが、その緑をうずめるように白雪がかかっている風情は、百年に一度花を咲かせる松が十返目の千年の齢を迎えて美しく咲かせている花のようである |