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梅が枝
[ウメガエ]

ジャンル	地唄・箏曲 箏組歌 表組
別名	千鳥の曲・嵐の曲
作曲者	八橋検校城談
調弦	平調子
唄	一　梅（うめ）が枝（えだ）にこそ　鶯（うぐいす）は巣（す）を構（く）へ 　　風（かぜ）吹（ふ）かばいかにせん　花（はな）に宿（やど）る鶯（うぐいす） 二　花散里（はなちるさと）のつれづれ　絶（た）えだえのことの音（ね） 　　花橘（はなたちばな）の袖（そで）の香（か）に　山（やま）ほととぎす訪（おとず）るる 三　思（おも）ひ寝（ね）の夢（ゆめ）の間（ま）　枕（まくら）に契（ちぎ）る明（あ）け方（がた） 　　覚（さ）めては元（もと）の辛（つら）さにて　涙（なみだ）のほかはあらじな 四　小夜（さよ）更（ふ）けて鳴（な）く千鳥（ちどり）　何（なに）を思（おも）ひ明（あ）かしね 　　憂（う）き世（よ）を須磨（すま）の恨（うら）みにて　我（われ）とひとしき涙（なみだ）かや 五　白真弓（しらまゆみ）の檀（まゆみ）の　反（そ）るべきは反（そ）らいで 　　八十（はちじゆう）の翁（おきな）も　恋（こい）に腰（こし）を反（そ）らいた 六　三保（みほ）の松原（まつばら）吹（ふ）き絶（た）えて　沖（おき）つ波（なみ）もあらじな 　　水（みず）に映（うつ）ろふ月（つき）ともに　眺（なが）めに続（つづ）く富士山（ふじさん）
訳詞	１．鶯は好んで梅の枝に巣を作り、梅の花に宿るが、春風が吹いて花を散らしてしまったなら、一体どうするのだろうか ２．花の散った里に、つれづれなるままに途切れ途切れに弾く箏が聞こえる。山ほととぎすがその香を慕って訪れてくるように、源氏の君も花散里のことを思って、袖の香と同じ橘の香に惹かれて訪れて来る ３．思う人を恋いながら眠ると、夢の中で枕を交わすことができるが、明け方になって夢から覚めてみれば、元のままの辛い自分に返っていて、ただ涙にくれるばかりである ４．夜遅くなって鳴く千鳥は、何を思いあかして鳴いているのであろう。私を同じように、辛い世の中に住んでいるのを恨みに思って、涙を流して鳴いているのだろう ５．白木の弓は反り返るものなのだが、それが反りかえらないでいるように、人も八十歳ともなると腰が曲がるはずなのに、恋をすると若返って、しゃんと反りかえることもあるようだ ６．駿河の国の名勝の三保の松原では、吹く浜風も止んで、沖にも波が立っていないようだ。そして、この穏やかな水面に映る月とともに眺め渡すと、美しい富士山が見える

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