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桐壺
[キリツボ]

ジャンル	地唄・箏曲 箏組歌 裏組
別名	水鶏の曲・青柳の曲・桐壺曲
作曲者	八橋検校城談
調弦	平調子
唄	一　桐壺（きりつぼ）の更衣（こうい）の　比翼連理（ひよくれんり）の契（ちぎ）りも 　　定（さだ）めなき世（よ）の慣（な）らひとて　夢（ゆめ）の間（あいだ）ぞ悲（かな）しき 二　短夜（みじかよ）の夢覚（ゆめさ）めて　面影（おもかげ）を夏虫（なつむし）の 　　身（み）より余（あま）る思（おも）ひをば　いかで人（ひと）に語（かた）らん 三　秋（あき）の夜（よ）は更（ふ）け行（ゆ）き　月（つき）は西（にし）に傾（かたむ）く 　　松風（まつかぜ）や波（なみ）の音（おと）　鹿（しか）の声（こえ）ぞ淋（さみ）しき 四　道（みち）しるべせし小君（こぎみ）の　仲介（なかだち）に引（ひ）かれて 　　行方迷（ゆくえまよ）ふか空蝉（うつせみ）の　衣（きぬ）の薫（かお）りぞ床（ゆか）しき 五　誰（た）そや今宵（こよい）小夜更（さよふ）けて　柴（しば）の扉（とぼそ）を叩（たた）くは 　　尾（お）の上（え）おろしの訪（おとず）れか　水鶏（くいな）の告（つ）ぐる声々（こえごえ）か 六　青柳（あおやぎ）を片糸（かたいと）に　縒（よ）りて鳴（な）けや鶯（うぐいす） 　　鶯（うぐいす）の縫（ぬ）ふてふ笠（かさ）は　梅（うめ）が枝（えだ）の花笠（はながさ）
訳詞	１．桐壺の更衣と帝との比翼連理の契りさえ、はかない世の習いの通り、更衣の死によって夢の間の出来事となってしまったことは悲しいことである ２．短い夏の夜に見た夢は覚めて、夢で見たあの方の面影に対する思いは、小さな蛍が身に余る光を出すよりさらに身に余るもので、こんな気持ちをどうして人に話すことが出来ようか ３．秋の夜も更け、月も西に傾く真夜中に、松風や波の音、妻を呼ぶ鹿の声などが心細げに聞こえてくる ４．道案内の小君の仲介で空蝉を訪ねたが、すでに空蝉はその部屋を出ていて、ただ残された衣にたきしめた香りばかりが懐かしく、空蝉の行方がしのばれる ５．誰だろう、この夜更けに柴の戸を叩くのは。峰から吹き降ろしてくる風の音か、それとも水鶏の鳴く声なのか ６．青柳を片糸として縒って鳴けよ鶯、鳴きながら枝を縫うように飛ぶ鶯が縫ったという笠は、梅の枝についた花の笠である

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