ジャンル |
地唄・箏曲 端唄物 |
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作曲者 | 宇野都法師 |
作詞 | 不詳 |
調弦 | 三絃:本調子 |
唄 |
箏の鞘、 [合の手] 焚いて背子待つ蚊遣火の、 上の空にや立ちのぼる、水に数かく枕の下は、 恋ぞつもりて今日の瀬に、 [手事] 身は浮草の、寝入る [合の手] 間も無き、ああ、儘ならぬこそままならね。 |
訳詞 |
筆の鞘をたいて愛人の訪れを待つ蚊遣火が天に上って、いい加減に考えられてしまい、そのあてにならないことは水上に数字を書くよりも儚いものである。 その悲しみに枕の下に涙が流れ、恋が積って今日の瀬となった。 わが身はその瀬に浮いた浮草の根のように定まらなく、安眠する隙もなく悩まされる。 ああままにならないこの浮世であるよ。 |
補足 |
本調子長歌。手事物。 1788年刊『新大成糸のしらべ』に初出。 蚊やり火をたきながら恋人を待つ心情を歌ったもの。 前歌・手事・後歌の形式ではあるが、手事は短く、マクラもチラシもない。 |