ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山登松和 初世山勢松韻校閲 |
調弦 |
箏:平調子 三絃:二上り |
唄 |
秋の野に、咲きたる花は何々ぞ、 おのが指をり数へ見よ。 錦を粧ふ萩が花、尾花、葛ばな、をみなへし、 誰がぬぎかけし藤袴、親のなさけの撫子に、 露をいのちの朝顔の花。 この七草の花はしも、昔の人のめでそめて、 秋野の花のうるわしき、 その名は今に高まどや、野辺に匂える秋の七草。 |
訳詞 | 秋の野に咲いている花は何々であろうか。自分の指を折って数えてみなさい。まず、錦を装うような萩の花、尾花、葛の花、おみなへし。次に、藤袴、撫子、朝露に元気良く咲いても夕方にしぼむ僅かの命の朝顔、これらの七草の花は、昔の人が愛し始めて、秋の野に咲くその麗しさをたたえたものである。秋の七草は秋を代表するものの一つで、今では誰でも知っている。日本の秋の野に、七草はいつでも匂っている。 |
補足 |
山田流箏曲。初学曲。 「万葉集」以来、秋の七草として読まれてきた草花の名を綴って歌詞としたもの。 合の手に『六段の調』が打ち合わせられる。箏の基本的手法を盛り込んだ手付けがなされ、細かい歌い分けも可能。 同趣の題材を扱った山田流古曲に、初世山登検校作曲の『新七草』がある。「万葉集」で言う秋の七草に対して新しい七草を並べたもの。 |