ジャンル |
地唄・箏曲 山田流 |
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作曲者 | 山田検校 |
唄 |
ほととぎす、あれあれ月のかさのうち、 ぬれぬ顔するあどけなさを、思ひやつたがよいわいな、 よひよひごとのせきもりも、ゆるさぬからにうきなかは、 ないて嬉しき日もあれば、わらふてつらきかりまくら、 ひとりぬる夜はふたりがさびし、ほんにしんきなことじやいな、 ひとまつ宵の鐘の声、あかぬ別れの鳥はものかは。 |
訳詞 | ほととぎす、あれあれ月の傘のうち、ぬれない顔をする無邪気さを、思いやったらよいですよ。毎夜恋の関所の番人は許さないので、思いに任せない二人の中は、その辛さに泣いて嬉しい日もあれば、又笑っていても辛い変り易い仮の枕の夜もある。独り寝の夜は二人共に淋しい、本当にいらいらすることですよ。まだ逢っていたいのに別れをしなければならない明けを告げる鳥の声は辛いものであるが、愛人の訪れを待っても来ない時、時間の経過を告げる寺の鐘の声は一層苦しい思いがする。 |
補足 |
山田流箏曲。 月の傘から「ぬれる」をもちだし、ぬれる男女の恋愛から、恋のままならないことをうたった唄である。 |