ジャンル |
地唄・箏曲 新組歌 |
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作曲者 | 吉沢検校 |
作詞 | 新古今和歌集より |
調弦 | 箏:想夫恋調子 |
唄 |
一 駒とめて 袖打ちはらふ 蔭もなし 佐野のわたりの 雪の夕暮 二 稲葉吹く 風にまかせて 住む庵は 月ぞまことに もりあかしける 三 ももしきの 大宮人は いとまあれや 桜かざして けふも暮しつ |
訳詞 |
1.『新古今和歌集 冬 藤原定家』 霏々と降る雪に駒を止めて、袖にたまる雪を払いたいと思っても、立ち寄る物陰もない、佐野のあたりの雪の降る夕暮は、何とも荒涼たる眺めである。 2.『新古今和歌集 秋 皇太后宮大夫俊成』 稲の葉を吹く風が、荒らすがままのわが庵は、月が文字通り隙間から洩れて射し、一晩中番をしている。 3.『新古今和歌集 春 山辺赤人』 陽春のころともなれば、殿上人たちは、余暇があるのであろうか、桜の花を賞でて、毎日を過ごしている。 |
補足 |
新組歌。「新古今組(古今新組とも)」の一つ。 新古今和歌集から雪・月・花を主題とする和歌三首を引いて、そのまま歌詞としたもの。 前弾がつき、第二歌と第三歌の間に手事が入る。手事には替手がつき、三歌目の二つの合の手は合奏可能なように同一拍数で作られる。 三橋検校作曲の箏組歌『雪月花』と区別するため「新」を冠する。 |