ジャンル |
地唄・箏曲 手事物 |
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作曲者 | 松浦検校 箏手付け:八重崎検校 |
作詞 | 大阪の前田某 |
調弦 |
三絃: 二上り 箏: 平調子 |
唄 |
年はまだ、幾日もたたぬささ竹に、 今朝そよさらに春風を、われ知り顔に鶯の、 もも喜びの音を立てて、 うたひ連れ立ち乙女子が、摘むや千歳の初若菜。 若菜摘む手のやさしさに、 梅が枝に囀づる百千鳥の声添へば、 色さえ、音さえめでたき。 |
訳詞 | 年が明けて、生えてまだ幾日も経たない若い小竹に、今朝はそよそよと春風が吹いている。春が来たのを自分が一番早く知っているというような顔をして、枝から枝に飛び移る鶯の喜びに溢れた声が聞こえる。ああ、春の歌を歌いながら少女たちが楽しそうに連れ立って、おめでたい初若菜を摘んでいる。少女たちの若菜摘む手の優しさに、梅の枝に止まっている鶯が声援してくれる。その長閑な風景は若菜の色も鶯の声も、みんな初春のめでたさをたたえているようである。 |
補足 |
京風手事物。 正月の若菜摘みの情景を詠ったもの。 歌の節使いに特徴があり、声明の節使いを取り入れたとも言われる。 前歌の最後と後歌最後の旋律とが共通する。 手事には中チラシとチラシとが付き、一部『八重衣』の手事に類似する。チラシは『新浮舟』のチラシと合う。 |