ジャンル |
地唄・箏曲 明治新曲 |
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作曲者 | 菊塚与市 |
作詞 | 藤村叡雲 |
調弦 | 四九上り平調子 |
唄 |
君が代の、ためしにのみは、ひかれても 根ざし動かぬ巌の上の松は、 いはでも千代八千代、変らぬ色に栄ふらん。 その松が枝のふりみれば、 迎えし年の名におへる、龍の姿に似たるかな。 あら面白の松が枝や、あら面白の松が枝や。 |
訳詞 |
君が代は幾久しく続くようにと、子の日に小松を引く習慣になっているけれども、それよりは巌の上の松は、根元がしっかり張り付いていて動くことがないのである。 その松こそ言わなくても千代万代いつも変らず、緑の葉が生い茂ることであろう。 その松の枝振りを見れば、迎えた年の辰年の名を負うて、龍の姿に似ているように思われる。 まことに面白い松の枝振りである。 |
補足 |
手事物形式の明治新曲。 1904年の勅題「巌上松」にちなんで大阪円珠庵の藤村叡雲僧正が詠んだ和歌をそのまま歌詞とする。 御代がいついつまでも続くことを願い祝した内容。 前歌・手事・中歌・手事・後歌の構成で、各手事はいずれもマクラがなく、同拍数で段合わせが可能である。 |