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夏の曲
[ナツノキョク]

ジャンル 地唄・箏曲
新組歌
作曲者 吉沢検校 手事手付け:松坂春栄
作詞 古今和歌集 より
調弦 本手:古今調子
一 いそのかみ 古き都の ほととぎす
  声ばかりこそ 昔なりけれ

二 夏山に こひしき人や 入りにけん
  声ふりたてて なくほととぎす

三 蓮葉はちすばの 濁りにしまぬ 心もて
  何かは露を 玉とあざむく

四 夏と秋と 行きかふ空の 通ひ路は
  かたへ涼しき 風や吹くらん
訳詞 1.『古今和歌集 夏 素性法師』
古い都のあるこの石上寺で、ほととぎすの声を聞くが、ほととぎすの声だけが、昔のままであるなあ。

2.『古今和歌集 夏 紀秋岺』
夏山に、ほととぎすの恋しく思う相手がこもってしまったのかしら。声をかぎりに里のほととぎすが鳴いているではないか。

3.『古今和歌集 夏 僧正遍昭』
蓮の葉は、泥水のなかにあって、その濁りに染まらない清い心を持っておりながら、どうして葉の上の露を、玉と見せかけるのであろうか。

4.『古今和歌集 夏 躬恒』
ゆく夏と、来る秋とが空の通路で行き違うときは、道の片側に涼しい風が吹くことであろう。
補足 新組歌。「古今組」の一つ。
「古今和歌集」夏の部の和歌四首をそのまま歌詞とし、初夏から晩夏にかけて四歌に配列して組歌としたもの。必ずしも古典的な組歌の形式に従わない。
松坂春栄によって手事と替手が補作されて以来、手事物として有名になった。
手事部はマクラ(楽の手)・手事二段(段合わせ可能)・チラシという構成。
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